こんにちは!にんにんです!
おそくらく10年前(2010年頃)に「スマホを持っていない人」を探すことはできました。
現在(2022年)はどうでしょうか。
私と同世代の30代で「スマホを持ってない人」を探すのは、非常に難しいと思います。
私には中高生の甥、姪がいますが、もちろんスマホを持っていますし、小学生の甥っ子もyoutubeを見てます。
それほどみんなに浸透して、手放せなくなったスマホ・タブレット。
そんなスマホに夢中になることの影響がいろんな研究が進み、データ化してきました。
本著は、そんな最新のデータをもとにした最新の著書です。
衝撃的な内容ですが、ぜひ読んでいただきたい内容でした。
今回紹介する スマホ脳 はこんな人におすすめ!
▶︎スマホを持っていて、自分でもよく見ていると思っている人
▶︎子育てをしている人
▶︎自分が「マルチタスク」が得意と思っている人
このブログで紹介している他のリストは下記にまとめてあるので、よかったら他の記事もご覧ください。
それでは、いきましょう!
書籍紹介
タイトル | スマホ脳 |
著者 | アンデシュ・ハンセン 著 久山葉子訳 |
出版年 | 2020年11月 |
ページ数 | 264ページ |
出版社 | 新潮文庫 |
価格(税抜) | 980円 |
トータル評価 | |
読みやすさ | |
実用度 | |
本棚度 | |
読書時間 | 約2時間 |
【全体】読んでみての感想

ブルーライトや、SNS疲れなど、スマホによる弊害はいろんなところで言われています。
でも私たちはスマホを手放すことはありません。
スティーブ・ジョブズがiphoneを発表してから、世界は変わりました。
映画を見ていても、夕食を食べていても、スマホの通知が気になったり、
通知が来ていなくても、確認したくなったり、していませんか?
スマホを箱に入れて、時間にならないと取り出せなくなるようなガジェットもあります。
そうまでして、私たちはスマホを遠ざけたいにもかかわらず、自分の意思では遠ざけることができない。
これは明らかに異常なことであり、スマホが楽しい便利だから、というだけでは
説明がつかないのではないでしょうか。
本書は、スマホはドラッグのように依存症を発生させ、またスマホを触ることは「生存本能」と言います。
子どものスマホ使用についても、データが出ており、
実際にスティーブ・ジョブズは自分の子どもにスマホを使うことを禁止しています。
巧妙に仕組まれた依存への罠から、私たちは自分の”意思”では抜け出せません。
スマホから入手できる情報や、ショッピングなど、多くのことを便利にしてくれたのは事実です。
ですが、その背景にある弊害をしっかり認識した上で使うのと、
認識せずに使い続けるのには大きな差があります。
なぜこれほど多くの人が、物質的には恵まれているのに、不安を感じているのだろうか。
今までになく他人と接続しているのに、なぜ孤独を感じるのだろうか。
本著はその背景をデータに基づいて知ることができます。
全スマホユーザー、タブレットユーザーに読んでいただきたい本です。
- スマホはドラッグ
- そのドラッグ性をIT企業は利用している
- SNSは単なる承認欲求ではなく、生存欲求になっている
【詳細】本書の内容、および感想
著者紹介
著者のアンデシュ・ハンセンはスウェーデンの精神科医です。
「一流の頭脳」が人口1,000万人のスウェーデンで、60万部の大ベストセラーとなりました。

”スマホ”の特徴
本書では多くの事象が述べられていますが、大きくは次の3につまとめることができます。
- スマホはドラッグであり、依存性がある。その性質をIT企業はうまく利用している
- スマホを使うこと、つながることは、「生存欲求」に直結している
▶︎わかっていてもやめられない、気が散る、能力が下がっても、スマホを使ってしまう
特に②が非常に怖いです。それぞれポイントを紹介してきます。
スマホはドラッグで、依存性がある
スウェーデン人のスマホの使用に関して次のデータがあります。
- 0~1歳までの25%がスマホでネットを使用したことがある
- 2歳児の半数以上がネット中毒になっている
- 7歳までにスマホを使ったことがある率はほぼ100%
- 子どもは平均10〜12時間スマホを使っている
▶︎家庭教育で規制せいているイギリスでも6時間以上、米国でも9時間以上 - 大人も含めると、人々は10分に1回スマホを見ていて、1日に2,600回スワイプ・タッチしている。
スウェーデンは国家としてデジタル化を推進しており、特に規制がされていません。
日本も同じです。
このように人々は、特に自制がきかない子どもは特に、スマホに多く触れています。
1日6時間以上見ている人からスマホを取り上げた場合、
開始後10分でストレスホルモンであるのコレチゾールがでる。
これはギャンブル依存症と同じ症状です。
しかし、現在、スマホを制限する法律などはない。自制が効かない未成年に対しても。
以下からなぜ依存してしまうのか、を見ていきます。
人間の脳はスマホがある世界に適応できていない
スマホが出現したのは、人類の歴史から見るとつい最近で、
「スマホがある世界」に脳は適応できておらず、
人間の脳は100万年間、狩猟時代に設定されたままになっています。
狩猟時代には動物を狩るのと同様に、木の実などを食べていました。
高い木の上に、木の実があるかもしれないが、下からはわからない。
登るとたまになっている。そうすると栄養価の高い実を得られて、生き残れる。
つまり自然から得られるものは「あるかどうかわからない」というギャンブル性の高いものであり、
そのリスクを負わないと生き残れない。
逆を言うと、チャレンジ(ギャンブル)をしてきた人たちの子孫が、私たち、ということです。
そういった期待を、人間は過剰評価するセッティングになっています。
ここで大事なことは、実際にギャンブルに勝ったから(木の実を発見できたから)ではなく、
ギャンブルすること自体で報償系の快楽物質(ドーパミン)が出て、それで得たものは、
普通で得たものよりも価値があるように思うように、生き残りのためにセットされていることです。
スマホの情報も同じで、「大事かもしれない」と思って開くだけで、
報償系のホルモンがでるようになっています。
「情報」と木の実などの「現物」。全く違うものですが、
脳は実際の狩猟の現物と、スマホで得られるデータの違い(情報)が、つけられません。
アプリに仕組まれている依存を呼ぶ仕組み

私もよく使うtwitterを例に取ります。
twitterは更新すると初めに鳥のマークが出て、情報が出てきます。
その後、更新するのはボタンではなく、スワイプをして、ロードがあって、新しい情報ができますが、
実はこれらのタイムラグは設計されたものです。
単に新しい情報が出てくるだけではなく、スワイプを入れることによって
「新しい情報、でてくるかな?」と思い、ギャンブル性が出ます。
①情報があるかな、と思う。
②実際に情報がある
③その情報が有益であった。
③が一番大事ですが、③をするには①飲まず、情報をとりに行くことが大事です。
そのためどの段階でもドーパミンが出るようになっています。
これがtwitterやfacebook,instagramを「開きたくなる」理由です。大した情報がないのに。
スマホは人の能力を下げる!?
子ども教育
アメリカの学会でタブレットを使った学習は、子どもの発達を遅らせることがわかりました。
タブレットで積み木遊びをする場合と、実際の積み木で遊ぶ場でみると、
大人にとっては差がないものの、発達中の子どもには影響がありました。
実際に積み木を触ったり、鉛筆を触ったりすると、
脳の運動野が動くが、タブレット学習では、物を掴む感覚がないので動かないことで発達が阻害されます。
結果として、理論科目や算数での理解が衰えるようです。
マルチタスク、できてません
ジェームス・フリンによって記録された「フリン効果」というものがあります。
これはIQテストの結果 の記録で、1920年年代から上昇傾向にあります。
つまり近年、人類は賢くなっています。
しかし、1990年代になると、知能指数は頭打ちになり、2010年から下降が始まっています。
その理由は「マルチタスク」「ながら」によるものといわれています。
スマホを見ながら、何かをする、ということを覚えてから、IQは下がり傾向にあります。
ドキ、っとした人いませんか?
ちなみにこの記事を読んでいただいている方は、テレビを見ながら、
パソコンでyoutubeを再生しながら、読まれていたりしませんか?
(読んでもらっているだけで嬉しいですが^^;)
マルチタスクに自信がありますか?私はありました。あったと思っていました。
と言うのも、なにかをしながら、なにかをするのが普通になってます。
マルチタスクに自信がある人に、いつもの環境(音楽を聴きながら、など)と、
集中できる環境でテストを受けてもらったら、
マルチタスク下でのテスト結果の方が悪かったということです。
また、映画の途中で、メールをチェック(返信はしない)した人は、映画の内容の記憶力が悪かったようです。
これは「注意残余」と呼ばれます。
スマホを、ちょっとだけ見ただけで、映画を見ている時間はほとんどかわらないものの、
一旦切れた集中がもとに戻るのに10分以上かかるのです。
人間は目の前のことに集中しすぎると、他の動物や人間に襲われることから、
常に「気を散らしていること」「集中力を分散させること」で報酬系のドーパミンがでるようになっています。
これによって、マルチタスクをしていると、気持ち良くなり、作業が進んでいるように思えてきます。
しかし実際の作業効率は下がります。
現在はこの注意を散漫にさせる「スマホ」の存在が大きすぎます。
また、これは実際にスマホを見なくても、スマホをポケットに入れておくだけでも集中力が下がります。
机の上に置いておくとなおさらです。
「スマホを見たい」と思い、それを打ち消す、そんなことだけでも集中力は低下してしまいます。
パソコンのセキュリティソフトの常駐ソフトの様に、いるだけで脳の処理力が使用されます。
これはTEDの聴講者でも同じ傾向で、学生や大人か、に影響がありません。
SNSはただの承認欲求ではなく、生存欲求である

人はSNSにハマってしまいます。
日本では感じないかもしれませんが、海外ではまだfacebookは人気です。
オンライン英会話で、facebookはもう使ってない、といったら、
「えっ、じゃあどうやって友達と連絡するの!?」と言われました。
日本ではLINEですが、海外では浸透していません。
なぜ人はSNSにハマるのでしょうか。
人のゴシップ(うわさ)好きは、現代人だからではなく、狩猟時代からです。
「サピエンス全史」にもありますが、生き残った祖先は、「噂話に参加したから」だそうです。
人は仲間に排除されることを恐怖する
狩猟時代になぜ人は死んだのか、それは飢餓でも野生動物に襲われたから、でもないです。
人は、人に殺されており、10歳までに約50%が人間に殺されています。
発掘された白骨は、頭の左に凹みがあるものがおおいそうで、これは右利きの人間に殴られたことを意味します。
厳しい時代のため、グループの役に立たない能力の低いものや、調和を見出すものは、グループから排除されていたのです。
農耕時代になったらこの割合は20%に増加します。
狩猟時代より集団で生活することが増え、人間関係のトラブルが増えたためと考えられています。
自分が殺されないために、また集団を守るために、
自分がいかに優秀で、かつ排除したい人間のネガキャン(今でいう誹謗・中傷)をして、
集団の合意形成をしないと、生き残れなかったのです。
ここから「うわさばなし」をすること、また自分が発信して周りを説得することが大事になりました。
現代と同じですが、違うのはその集団の数です。
当時は150〜200人程度のグループでしたが、今は全世界の人と繋がれます。
日本だけでも約1億人です。
規模が大きくなったことで、参加すべき噂話も増え、かつ発信する先も増えてしまいました。
これがSNSにハマってしまう理由で、要は過去からの生存欲求によるものなのです。
子どもへの影響
大人でも依存してしまう、スマホ。
時制の効かない子どもは本能のままスマホにはまってしまいます。
スマホは開けるとすぐドーパミンがでます。
勉強や自己研鑽をして、将来のためにすることよりも、目の前にドーパミンが無限に出せるものがあったら。
実験によると、3ヶ月間スマホを使用させた子どもは、使用していない時よりも、
報酬を先延ばしにすることができなくなっていました。
報酬を先延ばしにできなければ、報酬を得るまでに時間がかかること、例えばバイオリンのレッスンなど、には興味をそそられません。クラシック系の楽器を習う生徒の数は減ってきている様です。
ご褒美を我慢できる子どもほど、将来の年収が高い。
このことは有名な「マシュマロ実験」で結果が出ています。
つまり、スマホに依存して、報酬を先送りできなくなってしまうと、
将来大きなことを成し遂げることが阻害されてしまうかも、しれません。
おわりに

今日は、
スマホ依存がヤバい『スマホ脳』紹介
というテーマで書きました。
スマホは便利ですが、いろいろなデメリットもデータで示されてきています。
これを「気持ち」だけで制御することはできません。
物理的に距離を置く。例えば勉強するときは隣の部屋にスマホを置いておく、などして、
できるだけ「スマホが気にならない様に」仕組んでいくことが大事と思いました。
皆さんにもうまくスマホと付き合っていただきたいです。
では、また次のブログでお会いしましょう!
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