こんにちは。にんにんです!
9.11の同時多発テロや、リーマンショック、3.11の東日本大震災など、
”予想していないこと”が起こることもありますね。
今回のコロナウイルスも、同じように「予想できなかったこと」ですね。
ビルゲイルが予想をしていたということも言われていますが、革新的であれば準備し、対応できるはずでした。
そのような、思いもよらない変化はブラックスワンと言われます。
今日紹介する本は、ブラックスワン〜不確実津生とリスクの本質です。
洋書ということもあってとっつきづらい本ですが、投資活動や今後のライフプランに参考になります!
今回紹介する ブラックスワン はこんな人におすすめ!
▶︎投資をしていて、リスクの取り方を参考にしたい人
▶︎”変化”が起こる理由やインパクトの大きさを知りたい人
それでは、いきましょう!
書籍紹介

タイトル | ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質 |
著者 | ナシーム・ニコラス・タレブ著 望月衛 訳 |
出版年 | 2009年6月 |
ページ数 | 634ページ(上下巻合計) |
出版社 | ダイヤモンド社 |
価格(税抜) | 1,800円(上下それぞれ) |
トータル評価 | |
読みやすさ | |
実用度 | |
本棚度 | |
読書時間 | 約4時間 |
私たちは、自分で思っているほど、実際にはものごとをよくわかっていない。
本書、扉 一部句読点追加。
私たちはどうでもよくて、とるに足らないことばかりに気をとられてしまう。
そして、相変わらず重大な事件に虚をつかれ、そんな事件がこの世界を形づくっていく。
【全体】読んでみての感想

「リスク」とはどのような意味でしょうか。
コロナで「第六波になるリスクがある」、「この金融商品は元本割れのリスクがある」など言いますね。
ネガティブな意味で使われるので、「危険性」という意味にとらえれることが多いです。
しかし、リスクの本来的な意味は「変化」です。
「この商品を投入すると損益が変わるリスクがある」というと、
損益が改善する可能性もあるし、悪化する可能性もある、という意味になります。
ブラックスワンは、簡潔に言うと「予想できない大きなリスク」を意味します。
なんとなく、ずっと働き続けられる、家族がいる、会社がある、と思っていませんか。
健康状態が悪化して働けなくなるかもしれません、自然災害や不慮の事故で家族を失うかも。
今時会社が倒産することも珍しくありません。
リスクを恐れて現状維持に努めるべきではありませんが、
自分が予見できているリスクが全部と盲信せずに、
”見えているリスク”と”見えていないリスク”を区別しながら、
「取れるリスク」をしっかりとっていく、ということをこの本は言っていると思いました。
ただ、この本、洋書で元々表現が独特なのか、非常に読みづらいです笑
例として第5章の見出しは次です。
証拠はたっぷり挙がっている。
上巻 p.106
ズーグルは(ときどき)ブーグル?
実証ああ実証。ポパーの考え。
意味不明ですよね笑
ズーグルは、今私がプレイしているテイルズオブアライズのモンスターの名前です。
関係はないかと思いますが・・・わかる方いたらコメントください。

【詳細】本書の内容、および感想

著者紹介
著者のタレブ氏はレバノン生まれ。
デリバティブトレーダーのかたわら、ニューヨーク大学で確率論のリスク管理への応用を教えます。
現在はMIT(マサチューセッツ工科大学)で不確実性科学を研究。
著作の「まぐれ」は30ヶ国語に翻訳されたベストセラーです
ブラックスワンとはなにか

Black Swan = 黒い白鳥。変ですよね。黒い白馬みたいな。
オーストラリア大陸が発見されるまでは白鳥は白いものしかいない、と思われていましたが、
オーストラリアで黒い白鳥が発見されて、世界に大きな変化が怒った、という内容です。
そこからブラックスワンは、今までないと思われていた大きな変化、を意味します。
本書ではブラックスワンは次の通りに定義されています
- 異常である
過去からすると、そんなことが起こるかもしれないとはっきり示すものは何もなく、
普通に考えられる範囲外であること。(予想できない) - とても大きな衝撃があること
影響が全世界に及び、多くの人に影響を与える - 発生した「後で」、後付けで説明し、予測が可能だったことにしてしまう
③が最も印象的で、特徴的だと思いました。「事後には予測可能」
・リーマンショックはアメリカのサブプライムローンを含んだジャンク債が発売されていたから
・3.11は地質学的なもので予想されていた
・9.11はイスラム国の反感が
・コロナはビルゲイツが・・・
本著ではGoogleの出現なども指摘されていました。
七面鳥にとってのブラックスワン
面白い例として、七面鳥にとってのブラックスワンが挙げられていました。
七面鳥は1,000日間育てられます。毎日餌を与えられて、人間っていい奴らだな、と思われます。
しかしアメリカのクリスマスでいきなり食べられます。
彼らにとって、食べられることが、「予測できなかった変化」で、予測できません。
しかし、人間側からはもちろんわかっていて、説明も可能です。
過去からの経験では起こり得ないこと。
きっと、逃げ出した七面鳥に「気をつけろ、あいつら食うぞ」と言われても、
証拠がないので、信じないことでしょう。
ブラックスワンが生まれる理由
ブラックスワンが生まれる理由は、昨今のグローバル化と拡張可能性によって、
1つの事案の影響範囲が拡大したことです。
過去の世界では、歌姫がいてもその地域、広くて国に影響を与えるだけ、でした。
しかしグローバリズムによって影響範囲が広がることで、1つの場所で発生したことが、広く影響を与えることに。
本著では、ブラックスワンが生まれづらい場所を「月並みの国」、
一方で生まれやすい世界を「果ての国」として区別しています。
特徴は次の通りです。
※わかりやすい表現にブログ主によって再定義しています
ブラックスワンが生まれない
ブラックスワンが生まれる
簡単な例をいいます。
月並みの国で見られるのは、身長。
100人の統計をとって、99人目までの平均が170cmだとします。
最後の一人が高身長だったとして、例えば300cmあったとします。
それでも100人の平均は171.3cmになります。その影響による上昇率は+0.1%でほとんど影響ありません。
身長などは過去データからの蓄積である程度予見できて、データのばらつきも安定します。
一方果ての国の例は、例えば本。
日本で良書がでて、1人2冊買ったとしても2億部です。日本語は日本人しか読めないからです。
日本語で書かれた本が99冊刊行されて、その平均発行部数をとります。
ここでグローバル化が定着した今の世界でハリーポッターを100冊目にします。
「ハリーポッターと賢者の石」は全世界に翻訳され、4億5000万部以上売れています。
英語圏だけではこれほど売れなかったでしょう。
こういったブラックスワンが生まれると、今までのデータが全く当てにならず、データにばらつきがでます。
現代はグローバリズムで世界がつながっているだけでなく、メタバースなどの仮想空間もあります。
一つの出来事の影響範囲は広がる一歩ですし、GAFAMなどの巨大企業や、今までは考えられなかった
データが出てくる可能性もあります。
そう言った意味で、今の世界はリスクを見通しづらいです。
自分が見えている事象だけで、リスクを決めて、リスクヘッジをしていないでしょうか。
ストーリーにするとリスクを過大評価する
ありそうにないことでも、それらしいストーリーをつけると、そのリスクは過大評価されがちです。
過大評価、と言うのは、実際に起こる確率は低いのに、おこることを余計に期待するということです。
例えば宝くじがそうです。
宝くじをかって1等が当たる確率は、約2000万分の1で、0.000005%です。
ですが、当たる確率などの合理的な理由は除いて、あったら仕事辞めて好きなことしよう、あれ買おう、など、
起こることにストーリーをたてて(本著では「講釈」と言われていました)期待をします。
逆に起こりそうもないことは、リスクを過小評価します。
今のコロナのパンデミックはビルゲイツや、映画「コンティジョン」でも指摘されていましたが、
どのように起こるかがストーリー立てて説明できないので、「まさか起こらないだろう」と過小評価されます。
これはマーケティングにも活かされていて、海外では「テロ保険」というのがあるようです。
補償内容を見ると、既存の保険(傷害保険など)と類似しますが、名前をテロ保険にして、
9.11以降のテロの危険性を煽る形にすると、それが起こる確率が高い、と過大評価してしまいます。
自分の選択の先にどんなリスクが想定されるのかを、みえていることと、みえていないことを、
合理的に見積もって判断するようにしたいですね。
”成功”する手法を過大評価する

「生存者バイアス」をご存知でしょうか。
成功者のセミナーなどで、成功の秘訣、手法が紹介されます。
彼らが成功したのはその手法を取ったからでしょうか?運やタイミングも大きく影響しているはずです。
「果ての国」では勝者総取りなので、敗者の声は聞こえてきません。
同じ手法をして、成功しなかった人の声は聞こえず、成功した人の声だけ聞こえてきます。
投資の世界で、個人投資家の7割は負けていると言われます。
それでも多くの手法や分析が巷に溢れているのは、成功者バイアスの一例と言えます。
その手法を取ったとしても必ず成功するわけではないので、冷静に判断したいです。
成功した結果と、その過程の手法に「因果関係」をつけることを好むのが人です。
そのようなものに頼りすぎると、突然のブラックスワンに対応できない状態になります。
例えばチャートでの手法を信じすぎて、レバレッジをして取引をしたり。
仮想通貨の可能性のストーリーに盲信して、投資金額を多くしすぎたり、など。
自分の知らない情報、リスクがたくさんある、と思い、行動することが大事です。
過去に証拠がないことは、それが起こらないこと、の理由にはなりません。
「予想」することに意味はない!?

ブラックスワンが現れやすい現代では、未来の予想はほとんど無意味ということです。
特に会社でよく作るような5ヵ年計画は、人件費の高い経営層や、コンサルなどが予想をしますが、
世界の変わるスピードがはなく、過去の経験が活かせない現代では、予測事態が難しいです。
過去の偉業は計画に基づいて行われたもの、と言うよりは偶然によってもたらされました。
コロンブスはインドに行こうと思って航海をしたら、たまたまアメリカ大陸を発見しました。
フレミングは失敗した実験の掃除をしようと思ったら、ペニシリンを発見しました。
このようなものはセレンディピティと言い、偶然の賜物です。
しかし、人間は進化の過程で、予想をすることをやめられず、
自分がわからないことは専門家の意見を信じます。
著者はこの専門家は、「予想をしている芸能人」ぐらいに扱うべきだと主張しています。
どのように行動するべきか

では私たちはどのように行動すべきでしょうか。
著者は積極的にいくには、そのような変化が起こるときに、その場にいないとチャンスを逃す側面もあるため、
次の点を主張しています。
- いい偶然と、わるい偶然を区別する
結果として起こることは偶然であることが多いが、いいものと悪いものがある。
悪い偶然が起こるリスクが高いのであればbetしない。良い偶然が起こる分野に注力する。 - 細かいことを気にしない
自分が向かっている方向性が大事であり、細かいことは気にしない。
ブラックスワンの予測にも力を入れすぎず、予測ではなく備に力を入れる - チャンスには手を出していく
チャンスらしいもの、はそうそう巡り合わないので、自分にとってのブラックスワンになるかもしれない。
パーティや、興味のあるジャンルのイベントに顔を出して、チャンスに自分をさらす。 - 政府の細かい計画には用心する
政府が出す物価計画や成長計画は、予想がたたないので、重要視しない。
それを信じてbetするのは危険 - 予想屋とけんかしない
アナリストやエコノミストは予想をするのが仕事で、当たらないことも多い。
結果が外れたからどうとか、戦うことは無意味なので、無視しよう。
具体的な例を1つ。
S&P500は毎年成長を続けている優良な指標だが、リーマンのときなどは暴落します。
それが怖くて投資しない、というのは③チャンスにさらしておく、に反します。

このチャートの上の線グラフは、実際のS&P500のチャート。
下は、この期間中、最も上がった10日間を除いた場合のチャートです。
リターンに大きな差があることがわかります。
この10日間に株式資産を持っておくかどうか。
変化が平均的であればそこまで影響は出ませんが、今はボラティリティが高く、
少しのチャンスを逃すか、つかむかで大きな変化があります。
自分なりにリスクをどれだけ取れるか、考えて、
保守的なPF(金、現金など)、積極的なPF(株式、債券)を組んでいきましょう。
このときに、「どうなるか」を予想するのではなく、「どうなっても大丈夫」なように備えることが重要です。
おわりに

今日は、
想定していない事態が起こる『ブラック・スワン』紹介
というテーマで書きました。
悪いブラックスワンは不正でも英雄にはなれません。
9.11を事前に防いでも英雄にはなりません。
しかし、治すことよりも、予防する方がいいのは、誰でも知っています。
今私たちが生きている世界は、色々な悪いブラックスワンを予防している
色々な活動のおかげで成り立っています。
著作は最後に次のように締め括られています。
地球の10億倍の大きさの惑星があって、その近くに塵が一粒漂っているのを想像して欲しい。
p.219
あなたが生まれるオッズは塵のほうだ。
だから、小さいことでくよくよするのはやめよう。
贈り物にお城をもらっておいて、風呂場のカビを気にするような恩知らずになってはいけない。
(中略)
忘れないでくれ、あなた自身が黒い白鳥なのだ。
では、また次のブログでお会いしましょう!
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