こんにちは。にんにんです!
身近な自然、適度な距離感の人間関係、優れたwork life balance.
憧れの国として、人気のあるフィンランド。
以前そのフィンランドの働き方について下記の記事を書きました。

今日はそのイメージ先行のフィンランドの実態を、現地取材をしたイギリス人の目で書いた本を紹介します。

意外と重い実態がみえました
今回紹介する 限りなくカンペンキに近い人々 はこんな人におすすめ!
▶︎北欧の暮らしに興味がある人
▶︎”幸福度”が高い国に住んでいる人はどんな生活をおくっているのか?
本書は、幸福度調査でも上位に位置する北欧の国、
デンマーク、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、について書かれているルポです。
本ブログでは、フィンランドのパートを紹介します。
それでは、いきましょう!
書籍紹介


タイトル | 限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか |
著者 | マイケル・ブース(Michale Booth) 訳:黒田眞知 |
出版年 | 2016年9月 |
ページ数 | 517ページ |
出版社 | 角川書店 |
価格(税抜) | 2,200円 |
トータル評価 | |
読みやすさ | |
実用度 | |
本棚度 | |
読書時間 | 約3時間 |
「自分の人生を変えたくても変えられない」と答えたデンマーク人はわずか五パーセントだった。
本書、p,507
【全体】読んでみての感想


幸福度上位に位置する北欧ですが、決して楽園ではありません。
そこで暮らす人々は、楽をして、好きなことをし放題で生きているわけではもちろんないです。
それでも、”幸福”と国民が回答するのはなぜでしょうか。
地政学的にロシアとヨーロッパの間で戦乱に巻き込まれ、沈まない太陽で寝付けない夜を過ごし、
極寒の厳しい環境で耐えながらも、そこに生きる人たちは自分たちを「幸福」と考えています。
社会主義的な色も濃く、高福祉とトレードオフの高い税金を納めながらも、
周りの人を「信頼」し、「競争」という呪縛に囚われず、「生きたいように生きる選択ができる」という環境。
それが北欧の国に住む人々を「幸福」と感じさせているのだと思いました。
それらの考え方がフィットする人々にとっては移住すれば幸せですが、
贅沢な暮らしや、派手な消費によって、自分が満たされる、と感じる人にとっては、合わないと思いました。
無条件に「幸福」というのはなく、月並みな言い方ですが、それぞれの「幸福」が実現できる
環境に身を置くことが大切感じましたし、幸せは国が用意するものではなく、個人が主体的に勝ち取るものだと思います。
【詳細】本書の内容、および感想
著者紹介


著者のマイケルさんは、パリの料理店で修行されたシェフですが、本書のようにジャーナリストでもあります。
現在はデンマーク在住。
NHKでアニメ化された「英国一家、日本を食べる」のマイケルさんです。


幸福度が高い北欧に、「本当なのか」という疑問を持って、実際に生活をしながら、本書を綴りました。
「消費」を煽られない


私が「街」をイメージするとき、一番初めに浮かんでくるのが東京の渋谷。
一時期東京に通っていたこともあるのですが、毎晩なんかイベント?と思うぐらいの人。
街には広告が溢れて、呼び込みも多かったです。(コロナ前)
電車に乗っても、広告やお店で、「消費」を喚起されることが多いイメージです。
それに比べて、フィンランドの首都、ヘルシンキでは、街はコンパクトで、人も少ないです。
ショーウィンドや、街中の広告も控えめで、そういった「消費=正義」という状態から解放されます。



テレビもCM多いですよね。飛ばしますが
隣人を「信じる」


フィンランドは極寒です。
「金曜日に薪をもっていく」と約束して、もってこなければ、死んでしまいます。
そんな厳しい状況も手伝って、「約束したことは必ず守る」という前提がフィンランド人にはあります。
言語的にもそうで、フィンランド後には「未来形」がありません。
やるか、やらないかどちらかしかない、という状況が言葉にもみられます。



関西人の「行けたらいく」とは大違いですね
私もよく使いますが(やっぱり行かない)
そういった「信頼の前提」があるからか、依頼は非常にシンプル。
「お忙しい中すいませんが、コーヒーくれませんか」とか、ではなく「コーヒーください」と同僚にも唐突に言われることもあるよう。非常に「ハイコンテクスト」(いわなくてもわかるでしょ)で、これは日本語と同じです。
いわゆる「文脈を読んで判断して」ということで、お互いの状況や、人間関係を前提とした会話です。
フィンランド人はフィンランド人は信用しますが、他の国の人は信用しません笑
移民は2.5%程度と少ないので、極めて閉鎖的で、「よく知った人たち」と生活をしているから成立します。
アメリカのように移民が多く、異なる考え方、宗教を前提とした社会では、通用しないと感じました。
飲み過ぎフィンランド人


私はF1が好きですが、数名フィンランド人ドライバーがいます。
古くはミカ=ハッキネン、現役では、キミ=ライコネンです。
ライコネンは、「酒豪」として有名で、レースがトラブルなどでリタイアになったら、飲んでいたりします。
実際にフィンランド人は自分たちのことを「酒飲み」と思い、減らす必要があると感じていますが、
実際の飲酒量は年間一人当たり10リットル程度と、非常に少ないです。
このギャップは「飲み方」に起因していると考えらます。
習慣的に飲む、のではなく、飲むときはとことん飲むというスタイルのため、
パーティなどをすると、ひたすら飲み、ケンカになったりもします。
しかし、多くの人が「お酒を飲む時はトコトン」となるので、無礼講で翌日にはケロッとしています。
フィンランドには「シス」という考え方があり、忍耐、などと訳されます。
サウナで高温に耐えることや、お酒を飲み負けしないことが「よし」とされ、
他の北欧色に比べて、もっとも「男性的」という調査があります。
何か昔の日本と似ていますね。
優れた教育


OECDが公表している世界の教育システムのランキングでフィンランドは、数学、読解力、科学の成績でトップクラス。
この理由の一つに、「地域間での教育格差が少ない」ことが挙げられる。
フィンランドは世界で三番目に、別の土地に引っ越す頻度が高い国で、転校や転勤が常。
そのため、転校のせいで、学力に違いが出ると影響が大きく、一貫したカリキュラムや一対一の個別教育が充実。
そのことによって、取り残される生徒がすくなくなり、全体的にレベルがあります。
また、教師に対する支援も多く、名誉ある職業と考えられます。
ロシアとヨーロッパの間で、強い独立を勝ち取ったフィンランドは、発展国家を作るため教育が重要視されていました。
その影響が今日にも続いており、大学卒業生の25%が教師を選択肢の1位にあげます。
おわりに


今日は、
憧れのフィンランド、その実態?『限りなく完璧に近い人々』紹介
というテーマで書きました。
この本は北欧に住んでいる著者が、北欧の国々に滞在して見えたものを書いています。
本ブログではフィンランドに絞って紹介をしました。
デンマーク、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、についても詳しく書かれています。
フィンランドの「サウナに入ってみた」というルポには、笑えました。
アメリカは「自由の国」ですが、幸福な国、というイメージはありません。
自由と幸福が結びつかない現状で、この本が紹介している「幸福」の形は、
今ある環境の中で、自分なりに工夫して、ベストな選択をしている。
そして、そんな環境が用意されていると実感できていることが、幸福感につながっているのだと感じました。
では、また次のブログでお会いしましょう!
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