「北の達人」という会社をご存知でしょうか。
健康美容食品や化粧品の通販を行なっている会社であり、「カイテキオリゴ]という製品が主力です。
通販のみならず、自社製品も作って販売されています。
名前の通り北海道のもの取り扱っています。

東証1部に上場しており、証券コードは2930です。
株価はPER55倍近くまで買われており、今後の更なる成長が市場からも期待されている会社です。
その社長の木下さんの処女作で、自分の過去の経緯と、会社の維持・成長で大事にしていることを書かれています。

▶︎「北の達人」の会社の経営方針が知りたい人
▶︎成長企業が大切にしていることを知りたい人
▶︎これから物販・ものづくりで起業しようと考えている人
▶︎会社で「企画部」や「経営企画室」のようなところに所属している人
書籍紹介

タイトル 売上最小化、利益最大化の法則 利益率29%経営の秘密
著者 木下勝寿(北の達人コーポレーション代表取締役社長)
出版年 2021年6月
出版社 ダイヤモンド社
価格 1,800円(税抜)
トータル評価 | |
読みやすさ | |
実用度 | |
本棚度 | |
読書時間 | 約2時間 |
この本を読んだ人が1円でも多く利益を増やし、
1円でも多く納税することでこの国の発展につながることを願って書いた。
p.9
【全体】読んでみての感想
「売上最小化、利益最大化」というタイトルが目をひきます。
投資するときの対象企業をみるときに、私は売上と利益の伸びが並行して上がっているかを見ています。
売り上げが伸びていないのに、利益が伸びていると、特別な値上げなどで上げて、今後成長が続かないリスクがあります。
逆のケースは、固定費や変動費が上がってしまい、今後売り上げを上げても利益が取りづらい体質になってしまっている可能性があるからです。
本書でのべられている北の達人が大事にしている考えかたは、「利益が一番大事」ということです。
売り上げが上がっても、利益が下がると意味がありません。
そのために取り入れられている手法が細かい数字含めてオープンにされています。
これから独立しようとする方、サラリーマンでも企画系の方には参考になる考え方です。
また最近よくみるLTV=Life Time Value(顧客生涯価値)の考え方についても述べられています。
著者で会社社長の木下氏の考え方も書かれていますので、自伝的な読み方もできます。
細かな数字や計算式も書かれていますので、自分の会社の数字をそのまま当てはめることもできます。
それに基づいて戦略を考えてみるのもおもしろいのではないでしょうか。
【詳細】本書の内容、および感想
本書は、8章で構成されています。
細かい計算式や数字は本書を手に取ってください。
本ブログでは考え方の部分を中心に紹介をしていきます。
売り上げを減らして、利益をあげる

経営者の使命は会社を超巨大企業にすることではなく、永続的に続く企業をつくりあげることです。
続く企業を作るためには利益を出し続けなくてはいけません。
利益は、売上ー費用 ですが、売上(売上数x単価)をあげていくと、トラブル件数も増えていきます。
利益が売上を頼りにした構造だと、不況や地政学リスクに出会った時に、売上がへると一気に赤字になってしまいます。
本書では述べられていませんが下記はコカコーラの売り上げと利益の推移です。

コカコーラは世界的な企業ですが、利益はどうでしょうか。
営業利益率は20%-30%の間で安定しておりますが、右肩上がり、というわけではありません。
ではコカコーラが「終わった」企業か、というともちろんそうではないです。
成長期が終わった企業には、「安定的な利益」を出し続ける体制ができてないと存続できません。
このことからも「事業の継続性」が大事なことだということがわかります。
不況時でも生き残るために大事なこと

不況時はどの企業も売り上げが減ります。企業も、家計も財布のヒモが硬くなるからです。
生活必需品ですら買い控えが始まるので、娯楽やサービスはなおさらです。
著者は売上ゼロでも現状維持できる「無収入寿命」を24ヶ月と設定されており、それを管理会計の項目に取り入れています。
これにより、たとえ急に売り上げが落ち込んでも2年間は生き残ることができ、
次の商品に手を打ち、企業としては立ち直しをはかることができます。
そのため、ある事業が当たって更なる強気の投資の判断を考えるときに、この無収入寿命がまだたまっていなかれば、大きな投資は控え、まず、ガードを固めるため、利益を蓄積していくことを大事にされています。
これは経営の神様と言われた松下幸之助氏が「ダム経営」と読んだ手法で、
京セラなどを創業した稲盛氏も実践された手法です。
「利益」をあげつづけるために必要なこと
売上は企業のお役立ち度の合計を数値化したもの。
p.97
利益とはその中で自社が生んだ付加価値分。
社会貢献とは稼ぐこと。お金を稼ぐことは社会貢献
利益を上げるために、売上を上げる、というのが一般的な考え方です。
著者は売上ありきの利益ではなく、利益そのものを大事にする考え方で、著者は売上が下がった時も利益があげられる体制づくりが大切といいます。
D to C(顧客優先)

D to C は”Direct to Customer”のことで、北の達人では「DtoC X サブスクリプション」を戦略としています。
そのために、お客様に心から気に入ってもらえる商品を作る「少産少死」を意識し、商品の質を高めること。
また、クレームや顧客の声を大事にして、顧客が企業に対して生涯もたらす利益(=LTV)を上げるための顧客フレンドリーな説明書の作成やアプローチを大事にされています。
一度商品を気に入ってくれた顧客、ファンになった顧客をガッチリ掴んで、利益を確保するための、確実な売上の確保を目指されています。
「びっくりするほどよいもの」だけを市場に投入することで勝率を上げることを大事にされています。
終わりに
今日は
「売上最小化、利益最大化の法則」を読んで 筋肉質な会社経営方法を学ぼう
というテーマで書きました。
本書はで当ブログでは紹介していない具体例や、管理会計で大事にしている指標など、手法を公開されています。
本ブログでは全5章のうち2章しか紹介していませんし、
具体的な著者のエピソードや、著者の生徒の具体例も書かれています。
ピッと思ったらパッとやる癖をつけていくとキャパシティが増える
p.330
少しでも本書に興味を持っていただけたら、すぐに行動して、取り入れられるところから実践していきましょう^-^
では、またー。しゅたっ!
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