株価のファンダメンタル分析には色々な指標があります。
B/S関係では、安全性を測る自己資本比率や、運転資金の安全性を測る流動比率。
P/L関係では、稼ぐ力を測る営業利益率、黒字の余裕度を見る経営余裕率などです。
そういった指標の中でROEというものがあり、特に米国ではこれを意識した経営がなされています。
6/28日本経済新聞にROEに関する記事が出ましたので、ROEと株価の関係を見てみます。
この記事は次のような人にお役立てできると思います。
▶︎ROEがいい企業が株価がいいと思っている
▶︎株を買うときにROEがいい企業を盲目的に買っている
ROEって何?
言葉の意味
ROEは、Return On Equitity の略で、日本語で言うと「自己資本利益率」になります。
自己資本(銀行などに借りてきたお金ではなく、自分の会社のお金で返済義務がないもの)でどれだけ稼げているか?という指標で、ROEが高い、ということは、小さな資金で大きな利益を生み出せている、という指標で、数字が高い方が、財務指標としては優秀です。
株式会社における「自分のお金」は株主からの出資金ですので、株主から見ると、自分たちが出したお金を使って、どれだけ効率的に収益を生み出していくれているか、という指標になります。
計算式
ROEは次の通り計算できます。
ROE(%)=当期純利益(円)/自己資本
また詳細は割愛しますが、次の通りに分解もできます
ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
※売上高純利益率=当期純利益÷売上高
※総資産回転率=売上高÷総資産
※財務レバレッジ=総資産÷自己資本
つまりROEを上げるには、次のような手段があげられます。
売上高純利益率=売上高に対する利益の金額
▶︎売上が下がっても利益が確保できる筋肉質な財務体制
総資産回転率=全部の資産が年に何回回転しているか
▶︎資産を何回も回して、売上を上げていく
財務レバレッジ=自己資本に対する総資産の金額
▶借金をして、元々の自己資本に対して大きな資金で運転する
高ROE企業ってどんなところがある?
ROEは一般的には10%〜20%程度あれば優秀、と言われます。
6/28現在、東証1部のROEランキングは次の通りです
有名な企業もあるし、知らない企業もあるかとおもいます。
5位のSBGは高ROEで有名ですね。

高ROEは投資家に評価されやすい(株価を上げやすい)ので、自社株買いをして、自己資本を下げたりして、「ROE経営」に力をいれている企業も多いことがわかります。
高ROE企業と低ROE企業の株価の推移
アメリカ株での比較
6/28の日経新聞の「記者の目」で次の記事が出ておりました。

コルゲート、というのは、アメリカで歯磨き粉などを供給している会社です。
日本ではあまりみないかもしれませんね。

コルゲートの現在のROEは626%です。
同じように日常消費される、世界的に有名なマクドナルドのROEは△63%です(マイナス)。
ROEだけみるとコルゲートの方が優秀です。
そこで2社の株価を比較してみましょう。
グラフはYahooファイナンスで作成しました。(5年です)

赤色がCL(コルゲート)で、青色がMCD(マクドナルド)です。
コルゲートは+15%
マクドナルドは+95% それぞれ上昇しています。
ROEだけみるとコルゲートの方が優秀ですが、株価を見るとマクドナルドの圧勝です。
実はコルゲートの昨年のROEは3,000%を超えており、下がっております。
この業績が冴えないのが、そのまま株価に反映している格好ですね。
日本株での比較
アメリカのコルゲートと、マクドナルドを比較したように、
日本でも、花王とマクドナルドの比較を行ってみます。
4452花王のROEは13.9%
2702マクドナルドのROEは11.5% で、ほとんど変わりませんが株価は次の通りです。

こちらもROEはあまり変わりませんが、マクドナルドの圧勝です。
ROEと株価の関係性
ここまで述べてきた通り、ROEが高い方が経営は優秀と評価されます。
ただ、ROEが株価にダイレクトに反映されているかというと、そうとは限らない、ということです。
それよりも大事なのは、なぜROEが高いのか、ずっと高く維持されているのか、
それとも、年々低くなってきているのか、などの背景が大切です。
単純に高ROE企業=優秀=株価も上がる!ではなく、過去からの推移を含めて見る必要があります。
おわりに
今日は「高ROEは株価には関係ない?」という内容で記事を書きました。
私も同じ器用な企業で、最後にどちらを選ぶかの材料の一つにROEをつかうことがありますが、
ROEだけで、すべてGOOD!というわけではないです。
また、保有している企業のROEの推移が安定しているのか、下がっているのか、上がっているのか。
見ると業績の関係性も分かってきます。参考になると幸いです。
では、またー。しゅたっ!
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