スタンフォード大学はGoogleやヤフー、Netfixなど世界の巨人の経営者を輩出していることで有名です。
この本はそんなスタンフォード大学の講義で実践されている考え方を紹介し、ビジネスだけではなく
普段のコミュニケーションにも活かせる内容となっております。
同じような本(ハーバードの白熱講義、とか)もいくつか書店で見かけますので、
パラパラと手にとって、気になるところを読んでいくのがいいと思います。
当記事で私が面白いと思ったところを紹介します。
「この本はこんな人におすすめ」
▶︎「スタンフォードで一番人気の授業」の内容をざっくり知りたい人
▶︎スタンフォードで教えられている経営の考え方を知りたい人
書籍紹介

タイトル | スタンフォードで一番人気の授業 |
著者 | 佐藤智恵(さとうちえ) |
出版年 | 2017年 |
出版社 | 幻冬舎 |
価格(税抜) | 1,600円 |
トータル評価 | |
読みやすさ | |
実用度 | |
本棚度 | |
読書時間 | 約2時間 |
リーダーを育成するスタンフォード大学経営大学院のスローガンは、「人生を変え、組織を変え、世界を変えること」
スタンフォードで一番人気の授業 佐藤智恵 著 p.21
【全体】読んでみての感想
スタンフォード大学では経営の手法も講義されますが、それは最新のビジネスモデルなどではなく、
「基本的な考え方」が講義されています。
そう聞くと古臭くて、実用的ではないと思われるかもしれませんが、
実際多くの世界的企業の経営者を輩出していることから、普遍的なことが大切ということがわかります。
著者紹介

著者の佐藤智恵さんは東京大学卒業後、NHKでディレクターとして番組制作を担当されていました。
その後コロンビア大学でMBAを取得されたのち、2012年から作家として独立されています。
【詳細】本書の内容、および感想
本書は講義内容によって9章に分割されており、マーケティングやイノベーション、コミュニケーションなどに分けて紹介されています。様々なエピソードを通して語られています。
本ブログでは私の印象に残ったところを紹介していきます。
スタンフォード大学って?
スタンフォード大学はアメリカのスタンフォード州にある総合私立大学です。
日本の間価格でいうところの偏差値は80で、アメリカNo.2の大学です(1位はマサチューセッツ工科大学)

スタンフォード大学には、7つの大学院がありますが、そのなかでビジネスやリーダーシップを学ぶのが経営大学院です。
人気の大学であるため入学の倍率早く20倍ということです。
スタンフォード大学で教えていること

そんな大人気のスタンフォード大学で教えていることは、最新のビジネス手法ではなく、人間的な普遍的なものです。
「自分を知ること」「人間を知ること」に重点が置かれたカリキュラムです。
「あなたにとって最も大切なものはなんですか」という問いが各講義を通して行われ、自分の価値観を磨き上げることを目指します。
これによってたとえ周りが反対するものでも、自分の価値観にあったものであれば信じてすすめることができ、結果として、ブレない経営をすることができます。失敗する可能性が高いものでも、
特に近年AIの進化が目覚ましく2045年にはシンギュラリティが起こると言われています。
今後ますます 単純作業は機械が行うことになり、人間は、自分の意義を考え、「自分がやりたいこと」をやりやすい環境になります。
それは同時に「自分のやりたいこと」がわかっていない人には、機械との競争をせざるを得ない状況に追い込まれ、満足のいく仕事人生が送りづらくなることを示します(仕事だけが全てではありませんが)
自分の信じていること、大切にしていることを実現するための手法として「ビジネス」を位置付けることが今後大切になってきます。
ストーリーの大切さ
最近subaruのCMなど、商品そのものよりも、その商品の開発ストーリーや、商品が大切にしている価値観を訴えるCMが多いです。

同じようにアメリカでも同じようにストーリーや価値観を訴えて、企業理念に共感してPRする手法がとられています。
スーパーボウルのCMは価値が高く、有名企業がこぞってCMを打ちますが、ビールの「バドワイザー」はその中で商品ではなく、創業者の物語を紹介することで、視聴者の感動を得ました。
ものが溢れている時代で、「安さ」や「品質」は当たり前になりました。
その中で商品の差別化を図っていくには、細かい成分のアピールなどより、企業理念を紹介し、
消費者が「この会社が好き」「この商品が好き」という状態になると、固定ファンが定着し、購買が進みます。
データよりもストーリーの方が人の頭に定着する
プレゼンテーションを通した実験で、データを多く含んだ1分間ののプレゼンテーションを8人分聞いた後、
参加者に質問をすると、ストーリーを覚えていた人は63%、データを覚えていた人は10%にとどまった。
記憶に残ったスピーチの条件は、 ストーリー仕立てで、感情に訴え、ポイントを絞った スピーチであった。
選択肢を絞る

「マジカルナンバー」をご存知でしょうか。
人は7±2の数が記憶の限界と言われています(最近は5±2というのもあるようです)
携帯電話の番号は11桁ですが、初めは090か080なので、それを除けば8桁になり、ギリギリ覚えられる数字です。
人は、多くの選択を与えられると 覚え気ないものは忘れてしまいます。
ジャムの実験
このことを証明する有名な「ジャムの実験」があります。
被験者に24種類のジャムを並べて味見、購買してもらうパターンと
被験者に6種類のジャムを並べて味見、購買してもらうパターン。
24種類の方が選択肢が多く珍しいものも発見できるので購買を促進できるかと思いきや、結果は次の通りでした。
24種類のジャムを陳列
→60%が立ち寄り、そのうち3%が購入(全体の2%)
6種類のジャムを陳列
→40%が立ち寄り、そのうち30%が購入(全体の12%)
人は選択肢が多いと一見うれしくなりますが、選択を繰り返すうちに「選択肢疲れ」をおこし、
結局決断できないままになってしまう、という実験です。
同じようにドイツでは、自動車のオプションの選択を細かくできますが、
初めは楽しく選んでいたユーザーも後からは「もう初期設定でいいです」となることが多いそうです。
「選択肢疲れ」を 逆に利用する
仮釈放と釈放の実験
選択肢疲れを証明する実験として、裁判官の実験があります。
裁判官は毎日多くの判断をして、受刑者を仮釈放するか、禁錮のまま継続するかを決めなくてはいけません。
連続で選択を続ける中で、決めることに疲れてしまい、
「わからないから現状維持で」となってしまうことが証明されています。

このグラフは選択を続けていくと現状維持(釈放しない)が増え、休憩を挟むと
判断力が回復して仮釈放を「選択する」ことができることを示しています。
実際は犯罪の重さや、期間などの影響を受けますが、傾向として上記グラフはそれ以外の「選択肢疲れ」という要素の影響が顕著に見られますね。
社内での管理職判断を通してもらう方法

この「選択肢疲れ」を利用して、社内決裁を有利に進める方法を紹介します。
①会議設定の時間を夕方以降に設定する
管理職は日々多くの決断をしていますので、夕方には「選択肢疲れ」がでてくることで、
合理的にNGを判断する力が減っています。
②小さな案件から話す
また、会議の中でも一番初めに大きな案件(自分が通したい案件)を持ってくるのではなく、
細かい案件を持ってきて、最後に自分が本当に通したい案件をいれることで、
決断疲れを利用して、okを得やすくなります。
私は個人的にはお昼ご飯の後に入れることが多いです。
食事をして、ぼーっとしているので、結構さらっとOKになることが多いです笑
終わりに
今日は
「スタンフォードで一番人気の授業」を読んで サラリーマンでも使える考え方を学ぶ
というテーマで書きました。
本ブログでは紹介しきれていない考え方が、ストーリーを用いて紹介されております。
本書でご紹介したスタンフォードの授業や研究が、「自分を知り、自分を変える」一助となれば幸いです
著者あとがきより
では、またー。しゅたっ!
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